歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件

 痛い! 痛い! 痛いぃぃぃぃっ!!
 どうして!? これは、もしかして失敗したの!?

 激痛は容赦なくわたしの精神を削り取っていく。なんとか床を這って扉に手をかけた時だ。
 ガチャリと扉が開かれた。そこに立っていたのは、マリアン王女の取り巻きである、ローザ様とテオフィル様だ。

「……やはり魔道具を使ってしまったのね」
「学院の保健室じゃ手に負えないだろう。街の治療院に伝手があるから、手配してくる」
「ええ、お願い。治療費はこちらで持つわ」

 テオフィル様は駆け足であっという間に姿を消した。ローザ様は、膝をついてわたしの様子を見ている。

「あw瀬drftgyふ……!」
「ああ、顔が腫れてとんでもないことになっているから、無理に話さない方がいいわ。今治療院に連れていくから待っていて」

 ええ!? か、顔が腫れているってなによ!?
 なんでこんなに痛いの!? 今どうなっているのよ!?
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