歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件
「亜w瀬drftgyふじこっ! あwせdrf……っ!!」
「ほら、無理してはダメよ」
あまりの痛さと腫れ上がった顔のせいで、言葉にならない。
痛みで涙を垂れ流し、動くこともできずにその場でうずくまっていた。
やがて担架を持ってきたテオフィル様と手伝いの男子生徒に運ばれて、治療院に向かうが運ばれる際の振動で激痛が走る。目の前で花火が散るような痛みに、声にならない声を上げる。
「おい、大丈夫か?」
「クァwせdrftgyふいじこ!!」
「え? なんだって?」
「あqwせdrftgyふじこ!!!!」
ふと見れば、あの憎い女がわたしを嘲笑うように見下ろしていた。
あの女のせいで、わたしはこんな目にあったのだ。憎しみを込めて睨んでも、眉ひとつ動かさない女に、さらに苛立つも痛みで思考がまとまらない。
やがて興味を無くしたように視線を逸らすあの女に、なんとしても仕返ししてやると心に誓ったのだった。