歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件

 ライオネル様が贈ってくださったブレスレットが、わたくしの身代わりとなって砕けたのは残念だけれどその愛の深さを知ることができた。
 本当に出会った時から大切にされていたのだと、魔道士が帰った後ひとりで嬉し泣きしてしまった。

 その後もライオネル様の行動を振り返ってみて、その愛の深さにベッドでのたうち回っていた。
 やっと眠れたのは空が白み始めてからだ。

「でもいったい誰がこんなことをしたのかしら?」
「それは僕がちゃんと処分しておいたから、ハーミリアは気にしなくていい」
「え? 昨日の今日ですわよ?」
「ふっ、ハーミリアに敵意を向ける存在を放置などできるわけないだろう?」

 どういうことかと聞こうとしたタイミングで、馬車は学院に着いてしまった。



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