歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件
「あの、これを書かれたのはどなたですの? ライオネル様にご紹介したいのですけれど」
「はあ!? 貴女、ライオネル様に告げ口するつもり!? こんな悪口書かれてますって泣きついたところで相手にもされないでしょう!!」
そう言ってきたのは、同じクラスのシルビア公爵令嬢だ。水色の髪を美しく巻いて、気品あふれる顔立ちをされている。腰に手を当てたポーズも様になっている。
「シルビア様、よくおわかりですのね。もしやシルビア様が書かれたのですか?」
「違うわっ! わたくしがこの様に低脳な嫌がらせをすると思って!?」
「失礼いたしました。シルビア様でしたらわたくしの実家ごと捻り潰すのもたやすいですものね」
「そうよ……ではなくて、この様なことでライオネル様のお気持ちを煩わせるのだけはやめておきなさい! と言いたかったのよ」
シルビア様はライオネル様の熱狂的なファンだ。ファンクラブでも一桁代の会員番号だと噂されている。だからこそわたくしが婚約者で気に入らないのだろうけど、高潔な方だから面と向かって進言してくれる。