歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件
「伯爵家の娘が嫁げる相手ではないのよ。身のほどを弁えなさい……!」
私はハーミリア・マルグレンを排除すべく各方面から手を回していた。王族として評判を下げるわけにはいかないから、私が直接手を下すことはない。どうしても私が動かざるをえない時は、慈悲深く見えるように十分に配慮している。
学園では他の女生徒たちをけしかけて嫌がらせをさせ、わざと生徒会室に会の役員に任命してさまざまな雑用も言いつけた。でも、図太いハーミリアには陰口や嫌がらせは効果がないし、生徒会の雑用もなんなくこなしてしまう。
伯爵家にも圧力をかけて領地経営がうまくいかないようにしているけど、実家の方もなぜか潰れない。むしろ最近は領地経営も勢いを増しているくらいだ。
お父様にもライオネル様を婚約者にしたいと伝えたけど、曖昧に微笑むだけでなにもしてくれない。仕方がないので、直接的な方法を取るしかなかった。
「ライオネル様は第三王女である私の夫になるのよ——」
校舎に消えていくハーミリア・マルグレンを睨みつけた。