歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件
そしてランチの時間になり、わたくしは待ち合わせ場所の裏庭へ向かう。
ライオネル様はいつも先に来て待っていてくれる。こんなところもわたくしの心を掴んで離さないポイントだ。
「ライオネル様! お待たせいたしました。さあ、お昼をいただきましょう」
「ああ」
「そうですわ、今日はランチボックスにライオネル様のお好きなサーモンサンドを作ってきましたの! よろしければ召し上がりますか?」
今日は食堂ではなくこちらがいいと前日に聞いていたので、ライオネル様のお好きなサーモンサンドを用意してきたのだ。これも完璧な淑女教育の賜物で、クッキーなどの簡単なお菓子やサンドウィッチ、パンケーキなどの簡単なものなら調理できた。
三カ月前にライオネル様とピクニックに行った時に作ってあげたら、とてもお気に召したのかすべて平らげてくれた。あれはとても嬉しかったと思い出す。
「交換だ」
そう言って、わたくしとライオネル様のランチボックスを入れ替える。
ライオネル様はいつもより険しい顔で、黙々と召し上がった。