歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件
「わたくしはこんな性格ですし、ライオネル様に嫌われている婚約者の立場でしたので、仲良くしてくださる女生徒はおりませんでした。でもシルビア様は陰口は決して言わず、わたくしに正面から意見をぶつけてくださいました。そんなシルビア様の清廉潔白で真っ直ぐなところが、とても好ましいと思ったのです」
わたくしがこんなことを言うと思っていなかったのか、シルビア様は驚き頬を染めた。なんともかわいらしいお方だ。
「そんな……私は……」
「わたくし、ずっとシルビア様とお友達になりたかったのです。今この時間だけでも結構ですので、友人として付き合ってくれませんか?」
「し、仕方ありませんわね! 私には期間限定の友人などおりませんのよ! 私の友人として恥ずかしくないように精進なさいませ!」
「ふふっ、ありがとうございます」
つまりはずっと友人でいてくれると言いたいのだ。
ライオネル様のおかげでシルビア様とも友人になれた。なんて幸せなんだろう。
「それでは、わたくしの特訓にお付き合いいただけますか?」
「わかったわ。それで、ライオネル様をどのようにお呼びするの?」
「そうですわね……やはりライ様でしょうか?」