BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ――クラレンス様の表情が、辛そうに見える。どうして、そんな切ない顔をなさっているの?

 ジーニアの心の中はハァハァ状態である。このような彼女を止められるのはもはや同士であるヘレナしかいない。

「私は大丈夫ですが。その、クラレンス様の方が辛そうに見えます……」

「私をかばった君が私の代わりに怪我をした。まして、それが呪詛の類であるかもしれない、と言われたのであれば、申し訳ないという気持ちが私の中にだってあるのだよ」

「ですが、以前にも申し上げました通り、私はクラレンス様を守ることができたことを光栄に思っておりますので。その、クラレンス様が気になさるようなことではありません」

「それでも君は女性だ。女性の君に、このような傷痕をつけてしまったこと。今、激しく後悔している」

「私の傷痕など、クラレンス様の命に比べれば非常に安いものです。むしろ、クラレンスを守ったことでできた傷。これを誇りに思いながら、そしてそれを受け入れてくれるような方と一緒になれば、何も問題ありません」

< 104 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop