BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「私はそろそろ戻る。いい加減、シリルに探されそうだからな。せっかく君と二人でいることができる時間を、シリルにぶち壊されてしまうのは悔しいからな」
 そこで寝台を軋ませてクラレンスが立ち上がった。

「そういえば君は、ここに誰か知り合いはいるのか? ジェレミー以外に。もう少し、他の人と会って話をしたほうがいいのではないか? その方が気も晴れて、怪我の具合もよくなるかもしれない」

 その言葉が気休めだとわかっているが、それでもクラレンスがジーニアのことを気遣ってくれることがよくわかった。

「そうですね。兄以外でしたら……」
 そこでヘレナの名を出す。どうやらクラレンスはヘレナのことを知っていたようだ。さすが、ああ見えても優秀な女性騎士。

「ヘレナ嬢と会えるように根回しをしてやる」
 そう言ってクラレンスは部屋を出ていく。

 ――久しぶりにヘレナと会える。

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