BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ぶわっとクラレンスの顔が真っ赤に染まった。あのクラレンスが、だ。だが、すぐに真顔に戻る彼は、いろいろと感情を制御する方法を身に着けているのだろう。

「だが。ジーニア嬢が私を庇って、私の代わりに呪いを受けたと思っている。それの責任を私がとるべきではないのか」

 ゴクリと固唾を呑んでここにいる皆がクラレンスを見守っている。それはもちろんジーニアも同様。

「ジーニア嬢。私が君の破瓜を貫こう」

 ジーニアは一瞬、息の吸い方を忘れてしまった。ふがっ、ふがっと喉が鳴ってしまったのはそのためだ。
「ジーニア、大丈夫か」
 ジェレミーはうまく呼吸ができない妹を気遣ってくれるが、肝心の妹であるジーニア本人は、ゲホゲホと咳込んでいた。

「今、何か。おかしなことが聞こえたような気がしたのですが……」

「おかしなこととはなんだ?」
 腕を組んだまま、クラレンスがジーニアを見つめてくる。

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