BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「えっと。クラレンス様が私の破瓜を貫くとかなんとか……」

「言った。それで君の呪いが解けるなら」

「つまり、クラレンス様に処女を捧げろと。そういうことになりますか?」

「そういうことになるな」
 ジーニアは隣の兄を見て、助けを求めた。だが、ジェレミーはジーニアを見ようとしない。

「いやいやいやいや、ダメです。クラレンス様()()はダメです」

「なぜ、私だけは駄目なのだ? 私を助けてくれた恩人を助けたいと思うのは、自然な流れだろう」

「そういう流れもなんとなくわかりますが。ですが、ダメです。ね、お兄さま」

 ジェレミーがやっとジーニアの方を向いた。だが、その顔は怒っている。なぜ、ここで声をかけたのか、と。

「駄目……ではないかもしれない……」
 いきなりジェレミーがそんなことを口にした。ジーニアはジェレミーを見るし、他の五人の視線も彼に集まる。
「殿下から、ひと時の甘い夢を貰ったでも思っておけばいいのではないか?」

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