BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ――お兄さまったら、苦し紛れに適当なことを言っている。

 ジーニアは、その言葉が兄の本心ではないことにすぐに気付いた。なぜなら、彼の目が泳いでいるからだ。不安定に、きょろきょろとどこかをさ迷っている。

「おい。ジェレミー。君は私をなんだと思っている? まさかジーニア嬢の純潔をもらったら、彼女をぽいと捨てるような男であるとでも思っているのか?」

「違うのですか?」
 思わず腰を浮かせてしまったのはジーニアだ。

「先ほどから言っているだろう。責任を取る、と」

「クラレンス様……?」
 怪訝そうに彼を見つめているのは、もちろん誘い受けことシリルである。

「君の純潔をもらい受けた以上、責任はとる。私と結婚して欲しい」

 ――ここでまさかの公開告白。
 突然の出来事に、ジーニアはそのままパタンと後ろに倒れた。だが、ソファに座っていたため背もたれが全てを支えてくれる。

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