BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 微笑むクラレンスはどことなく苦しそうに見える。

「君に触れてもいいか?」

「はい」

 クラレンスの手が、胸元に伸びてきた――。
◇◆◇◆

 何しろ日の高いうちからクラレンスに抱かれていたのだ。一夜を共に過ごしたレベルの話ではない。
 カーテンの隙間から差し込む光が眩しく感じるし、どこからともなく小鳥たちのチュンチュンとしたさえずりが聞こえてくる。

 ――これが噂の朝チュンチュン……。

 ジーニアは自分が何も身に着けずに眠っていたことに気が付いた。そして、隣で静かな寝息を立てているクラレンス。

 ――と、尊い……。

< 154 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop