BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 推し(のうちの一人、むしろジーニアにとって全員推しである)の寝顔を見てしまった。特典ディスクに収録されているような映像である。ジーニアは飽きもせずにじぃっと眺めていた。
 すると、ぱっとクラレンスの情熱的な赤い目が開いた。
「おはよう、ジーン」

「おはようございます」

 ――慣れない。(尊い……)
 ――恥ずかしい。(尊い……)
 ――嬉しい。(尊い……)

 ジーニアの心の中にはさまざまな感情が入り乱れていた。

「ジーン。昨夜、大事なことを確認するのを忘れていた」

 クラレンスが真剣な眼差しでジーニアの顔を見つめている。

 ――な、何かしら。お互いの気持ちは確かめあったはずだけど……。

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