BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 そんな彼を心配し、真摯に向き合うのがミックという事務官。

『ジュード様、しっかりなさってください。クラレンス様がお亡くなりになったのが自分のせいであるとお考えになっているのですか? ジュード様は自分のことを天才と思っているようですが、やはりあなた様が凡人であったということが証明されただけなのですよ』
 と、ミックがジュードに言い放つ始末。

 なんなんだ、この展開。とジーニアの中の人は思っていた。

 それでもそのミックの一言はジュードの心を奮い立たせるには充分なものであった。

 その後、ジュードはクラレンスに毒と呪いをかけた人物を突き詰め、自分の魔術の研究材料にまでしてしまう。ようするに、人体実験である。ドSな彼の人体実験。変な効果音だけが流れ、背景がお花畑で『しばらくお待ちください』というテロップが流れていたことを思い出してしまった。あのゲームの中で一番シュールな場面といういわくつきのシーンでもあった。
 そんな感じで自分自身を取り戻していくジュードであるが、そこにミックの力があったことを忘れてはならない。

 それでも二人の愛を成就させるために、クラレンスの死という犠牲は大きかった。神であるプレイヤーであれば、彼を助けることができたのではないかと、ありもしない裏ルートの噂まで囁かれてしまったほど。
 だからこそ、心臓に負担の大きい第三のシナリオと呼ばれているのだ。

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