BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ジーニアの鼻の奥がツンとしてきた。駄目だ。クラレンスの命が失われてはいけない。二人の仲を取り持ってあげたいのは山々だけど。
 ずずっと鼻をすすって、ジーニアはガバっと起き上がる。

 ――やはり。これは、第二のシナリオを進めていくしかないのでは?

 ちなみに、第一のシナリオでは死亡ルートのジーニアであるが、第二ルートも第三ルートも立派なモブという役割がある。何しろ、あの卒業パーティに参加していて、王立騎士団第五騎士隊隊長であり、パーティの警備責任者のジェレミーの妹なのだから。
 とにかくこのゲームは、メインシナリオのカップルを成立させるために、どうでもいい登場人物が死亡するという流れが多い。そういう意味では第二のシナリオが一番安全かもしれない。自分も死なないし、主要キャラも死なない。もしかしたら、他のモブキャラは死ぬかもしれないけど、恐らくそれはジーニアの知らない人になる。だって、少なくともジーニアの中の人の記憶には残っていないのだから。

 だからこそ、ジーニアの心の中だけは平穏が保たれるというわけだ。

 ――お兄さまとグレアム様、それからジュード様とミック様には申し訳ないけど、彼らにはすっぱりと諦めてもらうしかないわね。となれば、やはり問題は卒業パーティか。

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