BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 自分がモブであることを思い出したジーニアだが、それでも推しと推しの絡みは見たい。この目に焼き付けたい。拝みたい。
 ちなみに彼らは王宮にいる。王太子と宰相の息子はもちろんのことだが、騎士団の屯所も王宮の敷地内にあるし、王宮魔導士団というくらいだから魔導士団の研究室も王宮敷地内にある。つまり、王宮に潜り込むことができれば、彼らの絡みをお目にかかることができる、というわけで。

 ――ジーニアって、卒業後はどうするの?

 ゲームの世界では一切描かれることの無かったジーニア。ジェレミーの妹というだけの存在。そんな彼女が学院の卒業後にどのような道に進んだのか、ジーニアの中の人はまったくわからない。のだが。

 昨日、お風呂に入らなかった分、朝からシャワーを浴びて、髪の毛をもぞもぞと拭き上げていたら、メイドが「朝食の時間ですがいかがなさいますか」と呼びに来てしまったため、それなりの恰好をさせてもらってから食堂へと向かう。
 のんびり朝シャワーをしていたジーニアが最後であったようだ。

「おはよう、ジーン。今日はお寝坊さんなのね」
 母親がニッコリと笑っている。
「おはようございます。遅くなりまして、すみません。お父さまもお兄さまも、早いのですね」

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