BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 しかもジーニアはあのクラレンスの妹であるアマリエ王女付きの侍女となるのだ。ということを、兄の言葉で思い出した。
 ――ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待って。アマリエ王女の侍女ってことは、クラレンス様と会える機会もあるかもしれないってことよね。いや、会えなくてもいい。すれ違うだけでもいい。あの美しい顔を拝めるのであれば、庭園の草でもいい。むしろ草のほうがクラレンス様とシリル様の絡みが見れる、かもしれない。

「どうかしたのか? ジーン」
 ジェレミーが不安そうに妹の顔に視線を向けた。

「いえ、何でもありませんわ、お兄さま。やはり、その、お父さまとお母さまと離れて暮らすようになるというのが、少し、その、寂しいといいますか」

「ジーン」
 と愛する娘の名を口にするのは父親。

「休みの日は、こちらに戻ってきていいんだぞ? お父さまもお母さまも、お前のことをきちんと待っているからな」

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