BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ――我が兄ながら、格好いいかもしれない……。

 真剣な眼差しで運転をする横顔。助手席でそんな顔を見せられたら、ときめくなと言う方が無理だ。
 と思いながらも、助手席を奪ってしまってごめんなさい、と心の中でグレアムに謝っているジーニア。
 もちろん、この助手席に乗っている人物がジーニアではなくグレアムだったら、という妄想をしないわけにはいかないだろう。

 ――サイドブレーキをおろしてください。なんて、助手席からグレアム様が手を伸ばしてきて……。はぁ、尊い。

 でも、この二人の恋を成就させるために、このシナリオは選んではいけないのだ。選べないのだ。だって、ジーニアの死亡ルートだから。

 ――見たい。二人の絡みは見たい。だけど、死にたくない。私が死なずに二人をくっつけるルートって無いのかしら。そう、そうよ。噂になっていた裏ルート。

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