BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 昼休みの鐘が鳴ると同時に、ジーニアはヘレナに拉致された。といっても、場所は食堂のボックス席。三方が壁に囲まれているから、誰かに聞かれたくない話をするときにはもってこいの場所。

「で、ジーン。あなた何をどこまで知っているのかしら?」
 いきなりデザートを食べ始めているヘレナが、そのスプーンの切先をジーニアに向けた。

「ど、どこまでって……。私が、元腐女子だってこと?」

「そういうことじゃなくて。そもそも腐女子という言葉を知っているということは、この世界についても知っているってわけでしょ? 正確に言えば、思い出した、とか?」
 そう言うヘレナは、不吉な笑みを浮かべている。

「そ、そうね。ヘレナの言う通り。私も思い出したの。この世界が『光り輝く君の中へ』、通称『ひかきみ』の世界だっていうことに」

「ジーン……。できることなら、前世で会いたかった……」
 その一言がヘレナの今の状況を表しているようなものだった。つまり、彼女もいわゆる転生者。

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