BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「それで、ジーンはいつ思い出したの?」

「いつ? いつ、って昨日よ。その、お兄さまが第五の隊長に決まって。それで、家族でお祝いしたの」

「そうね。ジェレミー様の隊長就任が、全ての始まりだからね」

 コクコクと頷きながら、ジーニアはパスタをフォークにぐるぐると巻き付けた。

「ヘレナはいつ思い出したの?」
 自分ばかり知られては不公平だとでも思ったのか、ジーニアもそのように尋ねていた。

「え? 私? 私ね、『ひかきみ』二周目だから。二周目って生まれたときから記憶があるのよ。赤ん坊なのに、頭の中は大人なの。あ、あれよ。見た目は子供的な、あれ、みたいな?」
 ヘレナの言っていることがよくわかる。よくわかるのだが、そもそも彼女は二周目と言った。

「え? ヘレナ、二周目ってことは。前もヘレナをやっていたってこと?」
 ヘレナの告白に、口の中に放り込んだはずのパスタの端が、ジーニアの口の端からはみ出てしまった。

「そう、ヘレナの前もヘレナ。で、その前が、よく覚えてないんだよね。その日本という国で『ひかきみ』のプレイヤーだったことだけは覚えているんだけど。それ以外はなんとなくぼんやりしてるっていうか」

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