BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ジーニアははみ出してしまったパスタを口の中に入れる。
「あ、私もよ。とりあえずここが『ひかきみ』の世界だっていうことはわかるんだけど。それ以外のことはよく覚えてなくて。って、それよりも、二周目って何、何? どういうこと?」
 同じ前世の記憶持ち、しかも恐らく同志であることは察したのだが、それよりもヘレナがこの世界が二周目というところが気になって仕方ない。

「あー、うん。そうよね。気になるよね。っていうか、一周目はさ、思い出したのが遅かったっていうか気付くのが間に合わなかったっていうか。まあ、あれよ。ジェレグレの第一シナリオの真っ最中に思い出したの」

「え? てことは、もしかして、私、死んだ?」

「そうそうそう、そうなのよ。もう、ジーンが死んだタイミングで思い出したっていうか。一周目の時から仲良くしてもらっていて、私の中では親友的ポジションだったのよ。それなのに、ジーンが……」
 と言い出すヘレナは今にも泣き出しそうに瞳を揺らしている。
 それを見て、ジーニアは察した。あ、私、死んだな、と。

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