BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
◇◆◇◆

「気が付いたか」
 夢から覚めて目を開けた途端、スパダリ攻め、ではなくクラレンスがいた。

「く、く、クラレンス様。一体、どうしてここに?」
 ジーニアは驚いてまた身体を起こそうとしてしまった。
「うっ」
 痛みで顔を歪める。

「無理をするな。そのまま寝ていろ」
 クラレンスに制され、ジーニアは身体を起こすのをあきらめた。だから、先ほどと同じように顔だけクラレンスに向ける。

「クラレンス様、どうしてこちらに?」

「ああ。そろそろ君の痛み止めが切れる頃だと思ってな。そうしたら案の定、君は痛みで苦しんでいたよ」

「そ、そうですか……。ですが、今は痛みが落ち着いております」
 ですから、さっさとシリル様のところにお戻りくださいと、言いたかった。だが、もちろんそれを口にできるわけもない。

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