BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「そうだろう。私が薬を塗ってあげたからな」
 クラレンスは目が潰れるような輝く笑みを浮かべていた。だが今、恐ろしい言葉が聞こえたような気がする。

「あ、へ、そ、その……。クラレンス様が、薬を?」

「そうだ」
 腕を組んで大きく頷くクラレンス。

「あの。ルイーズではなく?」

「違う。彼女は他の仕事があるからな。君の薬を塗ったのは私だ」

 ジーニアとしては否定をして欲しかった。嫁入り前なのに、素肌を異性に見られたという事実が、ジーニアを困惑の世界へと誘う。

「大丈夫だ。傷口しか見ていない。傷口を確認するために、着ているものは必要最小限、脱がせてしまったが」
 その必要最小限が問題であると思うのだが。
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