BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「そう、なのですか……。ですが、たった二人の兄妹。アマリエ様も心のどこかではクラレンス様のことを慕っているはずです」
 と、気休めにしかならないような言葉をジーニアは口にした。

 ――もしかして私、アマリエ様の侍女にならなくて良かったんじゃないかしら……。
 とさえ思えてくる。

「君は、人の心を穏やかにさせる天才だな」
 口元を綻ばせたクラレンスに、ジーニアはドキリとした。これはシリルでなくても惚れてしまうかもしれない。かっと、頬に熱を帯びていくことに気付いたジーニアはそれでも平静を装うとする。

「クラレンス様こそ、もったいなきお言葉、ありがとうございます」
 軽く頭を下げた際に、クラレンスの手がその頭に触れた。それは先ほど、ジェレミーが撫でたように。

「く、クラレンス様。一体、何をなさっているのですか?」

「ふむ、ジェレミーのように君を撫でてみたら、兄の気持ちがわかるかと思ったのだが。これをアマリエにやったら、殺されそうだなと思った」
 そこで自虐的に笑う。

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