BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「そうかもしれないな」
 とジェレミーが納得したということは、適当な言葉が、ある意味適当だったのだろう。

「それで、そのバルコニーの方を見てみたら。これまた何やら怪しく光るものが。うまくカーテンの陰に隠れているようでしたが、恐らく、その武器が何かの光を反射していたのでしょうね」

「つまり、そのバルコニーに敵が隠れていたということだな。実はその証言はペトルからとれていない」

「え、どうなのですか? あの禿親父……、ではなかった大臣がですね、グラスを持っていない方の手で、何やら合図を送っていたようにも見えたのですが」

「ほほう。ジーニア。それはいい話を聞いた。あの禿親父はな、自分は関係ないと言っているんだ。だけど、合図を送ったということは関係ないとは言えない、よな?」
 ジェレミーの目つきが鋭くなる。このような目で問い詰められたら、思わず泣いてしまうかもしれない。

「もしかして、お兄さま。私がそのようなことを言って、あの禿親父に狙われることはありませんか?」
 ジーニアは、騎士団さえ知らなかった情報を提供したのだ。それは禿親父、ではなくペトルを尋問するために優位に働くことだろう。
「それに。ただでさえ、クラレンス様を助けて。その、相手からしたら邪魔な奴と、思われているわけですよね」

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