BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「クラレンス殿下……」
 というグレアムの呟きで、クラレンスがそこにいたことにジーニアは気付く。
「どうかされましたか?」

「彼女を待っていた。私も、あのときの事件の話を聞きたいからな。ジェレミーに同席させて欲しいと頼んだら、騎士団以外は駄目だと断られてね」

「そうでしたか。こちらで聞いた話は、いくら殿下であっても、調査のために公にすることができないのです。申し訳ありません」

「ああ。それはジェレミーからも聞いている。だから、私が個人的に彼女から話を聞き出すつもりで待っていた。それは問題ないと、ジェレミーに言われたからな」

「なるほど」

「ところでグレアム。なぜ君は彼女を抱いているのだ?」
 そこでクラレンスの右の眉尻がピクリと動いた。これに気付いた者は誰もいない。クラレンスでさえも。

「どうやら傷口が痛むようで。それでこちらまで連れてきました。ジーニア嬢、どちらにおろしましょうか?」
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