BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 グレアムがにっこりと微笑みながら尋ねてくれるので、ジーニアはドキリと頬を赤くしてしまう。
「寝台の……」
 上にと言いたかったのだが、それを遮ったのはクラレンスが答えたからだ。

「これから私が彼女から話を聞き出す。だから、私の隣におろせ」
「承知しました」
 グレアムにとって、クラレンスの言葉は絶対だ。いくらそれが白くても彼が黒と言えば黒になるくらいに。だからクラレンスの隣にと言われれば、グレアムはそれに従うだけ。例え、ジーニアが嫌がっている素振りを見せたとしても。
「では、私はこれで失礼します」
 グレアムはビシッと九十度腰から折り曲げると、ジーニアの部屋を出ていく。
 つまり、この部屋にはジーニアとクラレンスの二人きり。

 ――き、気まずい……。

 とジーニアが思うのは、クラレンスがじっとジーニアを見つめているからだ。

「傷、痛むのか?」
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