BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「はい……」
 消え入るような声で返事をするだけ。すると傷口の周囲をクラレンスの冷たい手が触れてきた。

「ひっ……」
 また、その突然の冷たさに変な声が出てしまう。
「痛むのか?」

「いえ。その、クラレンス様の手が冷たくて。驚きました」

「そうか。では、君で温めてもらおうか」

「え?」
 冷たいクラレンスの手が背中から前の方へと伸びてきた。

「君の身体は温かいな」
 その冷たい手が微妙な位置で止まっている。
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