悪役令嬢のはずなのに!?〜いつのまにか溺愛ルートに入ってたみたいです〜
幼少期編:6歳

前世を思い出した日

スカートが濡れた足に張り付く不快感。
額から髪をつたって流れる水滴の不快感。
じりじりと容赦なく照らす太陽の下で、
帰りたくて仕方なかったティアナの足を
思いとどまらせていたのは
待ちに待った弟との初対面。

「ティア、紹介するよ。
 今日から君の弟になるギルベルトだ。」

金色の髪に青い瞳
優しく父が私に微笑みかける。

待ちに待っていた父からの言葉に
歓喜の顔をむけると
震えながら父の足にすがりつき
俯く帽子をかぶった幼い子供がいた。

「はじめまして、ギルベルト
 私はティアナよ。」

反応を待ったが
俯いたまま動かない。

「?」

「ギルベルト、
 君と2歳違いのお姉さんだよ。」
父は足にしがみつく子供の頭に
優しく手をおいた。

父の手にびくっと肩を揺らした瞬間、
揺れた拍子でずれた帽子の間から
黒い髪の束が流れ
恐る恐る見上げた黒の瞳と目があった。

ティアナは目を見開き・・





その場に倒れ込んだ。
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