悪役令嬢のはずなのに!?〜いつのまにか溺愛ルートに入ってたみたいです〜
コンコン

歴史の教科書に手をのばしていた時、
ふいにドアをノックされた

「はい」
ノックされたドアに答えると

「ただいま」
ライトロード学園から帰ってきたギルだった。

「おかえり、ギル」

椅子に座ったまま頭だけ後ろに振り返ると
椅子の上からギルにぎゅっとされた。


私が目覚めてから
ギルは時間ができる度にそばによってくる。
日に日に甘えん坊になってる。

物心つく前に離され母親の愛情を知らないギル。
ギルにとって私は、
きっと姉であり母親の変わりでもあった。
私が倒れた時、
ギルはまだ8歳になる前で。まだまだ甘えたい年齢だった。
たくさん寂しい思いをさせちゃったよね。
心に空いた隙間を埋めようと
必死に甘えたくなっちゃうんだよね。

私は肩にのせるギルの頭を撫でた。

ギルは顔を上げ
両手を私の首に伸ばしてくる。

私は椅子に座ったまま
抱っこする形でギルを膝の上に乗せた。


子供に戻った少年を
しばらく抱きしめ続けていた。
< 32 / 37 >

この作品をシェア

pagetop