悪役令嬢のはずなのに!?〜いつのまにか溺愛ルートに入ってたみたいです〜

黒髪の義弟

コンコン

父と手を繋ぎ
ギルベルトの部屋をノックする

・・しばらくたっても返事は返ってこない

コンコン

・・やっぱり返事は返ってこない

父の顔を見ると
首を傾けながら眉が下がり
"諦めよう"と言ってるみたいだった。

(いやいや、ほっとけないでしょう!)

ガチャッ
私はおもむろにドアを開けた

「!?」

びっくりした父に
後ろから両肩を掴まれたが
キッと睨みつけると
「お父様はあっち行ってて」
しぶしぶと手を離してくれた。
(父は私の瞳に弱いのだ)


私は一直線に部屋の中へ進んだ。

絨毯の上に背が低くなった
子供用のテーブルと椅子が置いてある。
テーブルの上には
スープ、パン、ヨーグルト、ジュース
スクランブルエッグやウインナーや
ポテトが乗ったワンプレートなど、
子供用のコンチネンタルセットが並んでいる。
まだ手はつけられていないようだ。

ベッドの上には
まるまった布団の山があり
その塊は小刻みに震えている。

ギルベルトの居場所は一目瞭然だった。

部屋の中を進みベットの前で声を掛ける。
「ギルベルト?」

布団がびくっと波打ったが
返事はなく小刻みに揺れたままだ。

うーん。
まずは警戒心を解かなくちゃだなぁ。。

少し思案した後、

「ばあーー!」
布団の中に勢いよく顔をつっこんだ。

布団の中は暗くてよく見えないが
びくっと肩を揺らした様子は分かった。

「まだ寝てるの?一緒に遊ぼうよ!」
無邪気に笑いかけてみる。

顔までは確認できないけど
こちらを向いてるのはわかった。


「ひくっ…だ・・れ・・・・?」
ギルベルトが初めて口を開いた。

「私はティアナ!お姉ちゃんだよ!」

私の言葉に
ギルベルトは強く拒絶した。

「う…うぇ・・」
ベッドに顔を押し付けるようにして
余計に泣き出してしまった。

私は手をのばし
背中をさすりながら落ちつくのを待った。
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