私が元カレにしたささやかな復讐
「もしもし、あのさ〜」

ヤーサーの長い話をまとめると、ずっと気になっていた女の子と成人式で話した時に好きになったとのことだった。話が長く、眠かった私は苛立ちを募らせながら「もしかしてこいつの好きな人って……」と誰なのかピンときていた。

何の取り柄もない私が唯一誇れるものは、HSPであるということ。人の感情や周りの光や音敏感な人で、日本人の五人に一人がHSPらしい。だから、人の気持ちが何となく読み取ることができる。

他人の中で、ヤーサーの感情はダントツでわかりやすい。高校生の頃も、「ヤーサーは私のこと好きになっているなぁ」と確信していた。だから今回も確信した。ヤーサーはもう一度私のことが好きだということを……。

だけど、私はもうヤーサーのことはもう何の感情を抱いていない。唯一抱いているとすれば嫌悪だ。未だ、一円も返ってきていないお金が原因である。

(もう、縁切った方が楽やよな……)
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