私が元カレにしたささやかな復讐
今思えば、彼女がいる身分にも関わらず他の女と二人きりで遊びに行きたがる男などありえない。だが、私はヤーサーに優しくされるたびに気持ちが舞い上がり、ただ嬉しくて彼と遊びに行っていた。恋は盲目という言葉通りだ。

「実はさ、イザベラ僕のことあんまり好きじゃないかもしれんくて……」

そんな恋愛相談をされることも多くなった。当時の私は好きな人の役に立とうと、ヤーサーを励ましたり、イザベラに気持ちを聞きに行ったりした。

「ヤーサーからの告白、電話で長々とされたんさ。見たいドラマが始まるところやったから、適当に「うん、付き合お」って言ったん」

イザベラが迷惑そうにそう言った時、「私にチャンスがあるかも!」と舞い上がっていたあの頃の私をぶん殴りたい。いや、ぶん殴るだけじゃ足りない。鞭打ちの刑にしてやりたい気分だ。

「じゃあ、ヤーサーのことは好きじゃないん?」

「別に、好きじゃない。今は勉強に専念したいし」
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