激情を秘めた警察官はウブな令嬢を娶り溶かす~1年で婚約破棄するはずが、敏腕SPの溺愛が止まりません~
早く俺のものになって
梧桐のおじさんの計らいで、慧さんは特別勤務扱いで、遠方の出張を控えてもらっている。
おかげで、慧さんはスケジュールに自由が利くようになり、仕事以外はなるべく一緒にいるようになった。
初めて泊まってもらった日のことは、今思いだしても顔から火を噴くほど恥ずかしい。
聞けば、慧さんの手を握って朝まで離さなかったというのだから。
目覚めたとき、布団ごと包まれたままだった。
彼には布団もなく一晩すごさせてしまい自己嫌悪に陥った。
風邪をひかなかったのだけが幸いだ。
それからも慧さんは、何度か自宅に泊まりにきてくれることがあった。
勿論、用意されている部屋は客室なのだが、どうもわたしは同じ失敗を繰り返す。
言い訳をすると、最近上手く眠れないのだ。
そんな時、慧さんは遅い時間まで付き合ってくれる。
わたしはベッドに入って横になり話をする。
それは好きなアイスクリームの味とか旅行の話、たわいもないものだ。
そうしていると、わたしはいつのま寝落ちをして朝を迎えるのが定番となりつつある。
慧さんに抱きしめられているという、オプション付きで。
慧さんが居てくれる日だけは、悪夢を見ずに朝まで寝ることが出来る。
「詩乃は大学が始まるが、大丈夫か」
お父さんが、朝食後のコーヒーを飲みながら言った。
お母さんも食事を運び終わると、遅れて席に着く。
「うん。明日は慧さんが送ってくれるって」
仕事もあるのだから、無理をしなくていいのに。
なるべく負担がかからないようにしたいけれど、「俺がやりたいからやるんだよ」が慧さんの口癖になってきた。
「そうか、慧くんが無理な日は運転手をつけよう」
「あの、もうストーカーの人捕まったんだよね。だからもう、危ないことはおきないと思うんだけど……」
怖いことにはかわりないが、そこは克服しなくてはならない。
突然襲ってきたり後をつけられたりという危険がなければ、通学くらいひとりでだってできるはず。
すると、お母さんが少し怒りながら言った。
「だめよ。慧君の話だと、まだあの男は不法侵入で捕まっただけだと言うじゃない。
ストーカー行為に関しては、まだ取調中で正式な逮捕でもないのよ。否認していることも多いから、気を抜かないようにって言われてるの」
「ーーーーえ、そうなの?」
わたしは聞いていない話だった。
「まだはっきりしないというだけだ。都合の悪いことだけ否認しているんだろう。あいつが全てやったに違いないよ。まったく、なんて奴だ」
捕まったのだからもう大丈夫。
そう言い聞かせて自分を保っていたのに、まだ安心出来ないってどういうことだろう。
気持ちが落ち着かなくなる。
ソワソワとして、窓の外にだれか居るんじゃないかって気持ちになった。
呼吸が苦しい。
「ああ詩乃、ごめんなさい。不安にさせるつもりじゃ……もう少しだけ、今までのように気をつけて過ごしましょうって言いたかったのよ」
胸を抑えて深呼吸していると、お母さんが背中を撫でてくれた。
慧さんに会いたい。
彼が居てくれるときだけが、わたしの安息だった。
おかげで、慧さんはスケジュールに自由が利くようになり、仕事以外はなるべく一緒にいるようになった。
初めて泊まってもらった日のことは、今思いだしても顔から火を噴くほど恥ずかしい。
聞けば、慧さんの手を握って朝まで離さなかったというのだから。
目覚めたとき、布団ごと包まれたままだった。
彼には布団もなく一晩すごさせてしまい自己嫌悪に陥った。
風邪をひかなかったのだけが幸いだ。
それからも慧さんは、何度か自宅に泊まりにきてくれることがあった。
勿論、用意されている部屋は客室なのだが、どうもわたしは同じ失敗を繰り返す。
言い訳をすると、最近上手く眠れないのだ。
そんな時、慧さんは遅い時間まで付き合ってくれる。
わたしはベッドに入って横になり話をする。
それは好きなアイスクリームの味とか旅行の話、たわいもないものだ。
そうしていると、わたしはいつのま寝落ちをして朝を迎えるのが定番となりつつある。
慧さんに抱きしめられているという、オプション付きで。
慧さんが居てくれる日だけは、悪夢を見ずに朝まで寝ることが出来る。
「詩乃は大学が始まるが、大丈夫か」
お父さんが、朝食後のコーヒーを飲みながら言った。
お母さんも食事を運び終わると、遅れて席に着く。
「うん。明日は慧さんが送ってくれるって」
仕事もあるのだから、無理をしなくていいのに。
なるべく負担がかからないようにしたいけれど、「俺がやりたいからやるんだよ」が慧さんの口癖になってきた。
「そうか、慧くんが無理な日は運転手をつけよう」
「あの、もうストーカーの人捕まったんだよね。だからもう、危ないことはおきないと思うんだけど……」
怖いことにはかわりないが、そこは克服しなくてはならない。
突然襲ってきたり後をつけられたりという危険がなければ、通学くらいひとりでだってできるはず。
すると、お母さんが少し怒りながら言った。
「だめよ。慧君の話だと、まだあの男は不法侵入で捕まっただけだと言うじゃない。
ストーカー行為に関しては、まだ取調中で正式な逮捕でもないのよ。否認していることも多いから、気を抜かないようにって言われてるの」
「ーーーーえ、そうなの?」
わたしは聞いていない話だった。
「まだはっきりしないというだけだ。都合の悪いことだけ否認しているんだろう。あいつが全てやったに違いないよ。まったく、なんて奴だ」
捕まったのだからもう大丈夫。
そう言い聞かせて自分を保っていたのに、まだ安心出来ないってどういうことだろう。
気持ちが落ち着かなくなる。
ソワソワとして、窓の外にだれか居るんじゃないかって気持ちになった。
呼吸が苦しい。
「ああ詩乃、ごめんなさい。不安にさせるつもりじゃ……もう少しだけ、今までのように気をつけて過ごしましょうって言いたかったのよ」
胸を抑えて深呼吸していると、お母さんが背中を撫でてくれた。
慧さんに会いたい。
彼が居てくれるときだけが、わたしの安息だった。