激情を秘めた警察官はウブな令嬢を娶り溶かす~1年で婚約破棄するはずが、敏腕SPの溺愛が止まりません~
会えなくなって一週間が経った。
これほど会えない期間が開くのは初めてだ。
婚約者となってから、これほど顔を見なかったことはない。
どんなに忙しくても帰り際に顔を見せに寄ってくれ、会えない日は電話を欠かさないでいてくれた。
いくら特別勤務になったからといって、やはり忙しいことに変わりはない。
ずっと無理をさせていたのだと気付く。
昨夜はとうとう電話もなくて、こんなふうに距離が広がってゆくのかと、なんとも言えない気持ちに支配された。
そんな時、理央から来た連絡にさらにわたしはショックを受けた。
『これ見て!』
メッセージと一緒に送られてきたのは、雑誌を撮影した写真だ。
ゴシップ週刊誌だ。
そこには、老舗ブランドの店舗から出てくる慧さんと、彼の腕に腕を絡める女の人が写っていた。
目を凝らして見る。画像の荒いモノクロ写真であるが、慧さんに間違いない。
「何これ……」
見出しには『ジュエリーの老店舗梧桐ブランドの御曹司と、世界的ファッションブランドの愛娘がとうとう結婚か?!』と大きく書かれている。
「この人、パーティーで会った人じゃない……」
どういうことなのだろう。
慧さんの顔はわからないが、女の人はうれしそうな表情だ。
記事を見ると写真を撮った日付があった。ほんの数日前だ。
忙しくて会えないと言っていたのは、なんだったのか。
読み進めると、互いの家柄のすごさについて、それからふたりの出会いから慣れそめ、現在の関係までがつらつらと書いてある。
春にも結婚か、というニュアンスで締められていた。
春といえば、わたしとの婚約期限だ。
この写真だけで、記事すべてを信じるのはどうかと思う。
けれど春という時期がひっかかった。
辻褄があってしまって、心臓が悲鳴をあげた。
すらっと背が高く体も魅惑的な彼女は、自分が隣にいるよりよっぽどしっくりときた。
(わたしよりお似合いだ)
『どういうこと? これは誰? 梧桐さんは詩乃の婚約者なんだよね? 浮気だよ! 詩乃を放って他の人と遊んでるなんて信じられない』
(浮気……?)
ううん。違う。
遊びなのはわたしの方なんだ。
だって、わたしたちはそのうち別れる。互いの利害が一致しただけの、嘘の婚約なのだから。
「いいの」
声が震える。
『よくないよ! 何言っているの、わたしがガツンと言ってあげるよっ』
「ほんとに……浮気とかじゃなくて、彼は悪くないから……」
知らずに涙が溢れる。
ああ、やっぱり辛くなってしまった。
わかっていたのに。覚悟をしていたじゃない。
それなのに、どうにも気持ちを抑えられない。
(あんなに、愛してくれたのに)
つい恨み言が出てきてしまう。
あの幸せだった一夜を思い出にしようだなんて、きれい事すぎた。
これほど会えない期間が開くのは初めてだ。
婚約者となってから、これほど顔を見なかったことはない。
どんなに忙しくても帰り際に顔を見せに寄ってくれ、会えない日は電話を欠かさないでいてくれた。
いくら特別勤務になったからといって、やはり忙しいことに変わりはない。
ずっと無理をさせていたのだと気付く。
昨夜はとうとう電話もなくて、こんなふうに距離が広がってゆくのかと、なんとも言えない気持ちに支配された。
そんな時、理央から来た連絡にさらにわたしはショックを受けた。
『これ見て!』
メッセージと一緒に送られてきたのは、雑誌を撮影した写真だ。
ゴシップ週刊誌だ。
そこには、老舗ブランドの店舗から出てくる慧さんと、彼の腕に腕を絡める女の人が写っていた。
目を凝らして見る。画像の荒いモノクロ写真であるが、慧さんに間違いない。
「何これ……」
見出しには『ジュエリーの老店舗梧桐ブランドの御曹司と、世界的ファッションブランドの愛娘がとうとう結婚か?!』と大きく書かれている。
「この人、パーティーで会った人じゃない……」
どういうことなのだろう。
慧さんの顔はわからないが、女の人はうれしそうな表情だ。
記事を見ると写真を撮った日付があった。ほんの数日前だ。
忙しくて会えないと言っていたのは、なんだったのか。
読み進めると、互いの家柄のすごさについて、それからふたりの出会いから慣れそめ、現在の関係までがつらつらと書いてある。
春にも結婚か、というニュアンスで締められていた。
春といえば、わたしとの婚約期限だ。
この写真だけで、記事すべてを信じるのはどうかと思う。
けれど春という時期がひっかかった。
辻褄があってしまって、心臓が悲鳴をあげた。
すらっと背が高く体も魅惑的な彼女は、自分が隣にいるよりよっぽどしっくりときた。
(わたしよりお似合いだ)
『どういうこと? これは誰? 梧桐さんは詩乃の婚約者なんだよね? 浮気だよ! 詩乃を放って他の人と遊んでるなんて信じられない』
(浮気……?)
ううん。違う。
遊びなのはわたしの方なんだ。
だって、わたしたちはそのうち別れる。互いの利害が一致しただけの、嘘の婚約なのだから。
「いいの」
声が震える。
『よくないよ! 何言っているの、わたしがガツンと言ってあげるよっ』
「ほんとに……浮気とかじゃなくて、彼は悪くないから……」
知らずに涙が溢れる。
ああ、やっぱり辛くなってしまった。
わかっていたのに。覚悟をしていたじゃない。
それなのに、どうにも気持ちを抑えられない。
(あんなに、愛してくれたのに)
つい恨み言が出てきてしまう。
あの幸せだった一夜を思い出にしようだなんて、きれい事すぎた。