ねぇ…俺だけを見て?
お開きになり、店の前で安吾と別れる。

「じゃあね!煜馬、史依ちゃん」

「はい!ご馳走様でした!」
「ご馳走さん。
━━━━フミ、手繋ご?」

「え?うん」
差し出してきた煜馬の手を握った。

「フミの手、ほんとちっちゃいな(笑)」
「そうかな?
煜馬さんの手は、なんか温かい!」

「そう?
でもそんなこと言われたの、初めて!
大きいってよく言われるけど」

「確かに、大きい!
だからかな?包まれてる感じで、温かいの」

「…………じゃあ、もっと包んでいい?」
立ち止まり、向き直る煜馬。

「え?」

「連れていきたい所があるんだ━━━━━━」


少し歩いた町外れにある公園。
「わぁー、凄い!
景色、綺麗だね!」
「だろ?ここ、意外と穴場なんだ!」

「綺麗……!」

「………フミ」
「ん?
煜馬…さん?」
名前を呼ばれ、煜馬を見ると真剣な目で見つめていた。

「これ……受け取って!」
小さな箱を取り出し、煜馬が開ける。
二つの指輪が光っていた。

「煜馬さん、これ…」
「婚約指輪は、渡せなかったから。
結婚指輪だよ!」

「………ありがとう…!」
史依は、目が潤んでいた。

「フミ」
「ん?」

「好きだよ」

「え?え?煜馬さん?」

「今更だけど、俺はフミのこと好きだ!
俺の嫁さんになってくれてありがとう!」

「でも……私達……」

「最初はね…
家政婦を雇う感覚だったんだ。
恋愛とかウザいし、仕事に集中したかったし。
でもフミに逢って、あっという間に虜になったっつうか……好きになった!
だからね!
政略とかじゃなくて、本気で結婚出来て良かったと思ってる」

「煜馬さん…
嬉しい!
私も、煜馬さんのこと…////好き……!」

「うん!
手、出して?」
史依が左手を出す。
薬指に、指輪がついた。

「フミもはめて?」
「うん!」
史依も、煜馬の左手の薬指にはめた。

「フミ」
「ん?」

「抱き締めてもいい?」
両手を広げる、煜馬。
史依は頷き、煜馬に抱きついた。

包み込むように抱き締めた。
「なんか…幸せだ……
抱き締めてるだけなのに……!」
「うん…私も……!」

そして額と額をくっつけた。
「フフ…恥ずかしいね…/////」

「どうしよう……」
「え?煜馬さん?」

「キス…したい……」

「え………ンン…」
返事をする間もなく、煜馬の口唇が重なっていた。
< 10 / 29 >

この作品をシェア

pagetop