ねぇ…俺だけを見て?
煜馬は朝食後、歯磨きしたり仕事に行く準備をするのだが、戻ってくると微かに煙草の臭いがするのだ。

「え?でも、旦那さんは煙草吸わないみたいって」
「うん。でも、臭うの。
あ、あと!仕事から帰ってきてからも!
ほら!今までは抱き締め合ったり、その…////キス////とかしてなかったから気づかなかったんだけど……」

「だったら聞けば?煙草吸ってるの?って。
夫婦でしょ?」
「そうだけど……」

「何!?本当は、他にあるんでしょ?」

「え?」

「バレバレ!!
何なの?」

「………私…////魅力ないのかな?」

「は?」

「いや、だから!
その……夫婦の……/////」

「あー!エッチね!」

「ちょっ…/////たまちゃん!
ここ、外!」
「んーー!んーん!」
慌てて珠稀の口を塞ぐ。

「━━━━っぷはっ!!?苦しいよ!」
「だって!」
「とにかく!
えっろいランジェリーでも着て、誘惑しな!」

「何それー!」



そして夕方になり、煜馬が帰ってきた。
「フミー!ただいまー」

「おかえりなさい、煜馬さん!」
「おいで?抱き締めさせて?」

両手を広げる煜馬に、抱きついた。
ギュッと抱き締められ、キスをする。
煜馬のキスは、口唇から頬にチュッ!チュッ!としばらく続く。

(………あ…やっぱ煙草、臭う)
「煜馬、さ…////」
「んー?」

「煜馬さん、に…聞きたいことが……」
キス責めに、くすぐったそうに身をよじりながら言う。
「何?」

史依の頬を包み込んで、向き直る煜馬。

「私に遠慮せず、吸っていいよ!煙草」
「え……」
煜馬を見上げ、言った史依。

「私に、気を遣ってくれてるんだよね?
確かに、吸わない方がいいけど……
なんか……無理もさせたくない!」
「知ってたの?」

「煜馬さんとギュッてしたり、キスしたりしてる時に、なんとなく……」
「そうだよな……さすがに、バレるよな…(笑)」

「やっぱ、煙草吸うんだ……」
「うん。実はヘビースモーカーなんだ、俺」
「そうなんだ…でも、見えないな」
「そう?」
「イライラとかしないの?」

「フフ…それがさ!
全くしないんだ!
確かに一日全くってのは辛いけど、フミといる時は吸わなくても平気!
フミがその分、俺を癒してくれるから!」

「そっか!良かった!
あ!車のガムも?」
「そうだよ。ごめんね。
俺の方が、気を遣わせたね……!」

申し訳なさそうに言う煜馬に、史依は微笑み首を横に振るのだった。
< 13 / 29 >

この作品をシェア

pagetop