ねぇ…俺だけを見て?
「━━━━━え?豹くんのこと?」

「うん。
フミの口から聞きたいなって。
俺の秘書になったわけだし」
「うん」

「どんな奴だった?」
「どんな?
うーん。
素敵な人だったよ。
優しくて、頭も良くて、誠実で……」

「大好きだった?」

「え……そ、それは……」
(えー!どう答えればいいのーー!)

「ん?フミ?答えて?」
ソファに並んで座り、煜馬が史依の手を両手で包み込んで顔を覗くようにして問いかける。

「煜馬さん」
「ん?」

「意地悪してるの?」
「まさか!そんなことしないよ!
聞きたいなって思ったの」

「好きだったよ。じゃないと、お付き合いしない」

「そうだよな」

「どうしてそんなこと聞くの?」

「ヤキモチ妬いたから」

「え?」

「そりゃあ、妬くよね?
こんなに愛してるフミの元彼が目の前に現れたんだよ?
だからね。
なんかないかなって!
元彼より、俺の方が好きって事柄。
…………ごめんね。大人げなくて………!」
頭を撫でて、切なく微笑んだ。

「あの…」
「ん?」

「今の…も…一回言って?」

「フミ?」

「もう一回言って!」

「えーと…ヤキモチ妬いたってやつ?」

「ううん。こんなに……?」

「あぁ!こんなに愛してるフミ」

「それ…ほんと?」

「あぁ、本当だよ」

「嬉しい……!」
「フフ…」
嬉しそうに笑う史依に、煜馬も微笑んだ。

「煜馬さん、好きって言ってくれたけど、絶対私と温度差があると思ってたの……!」
史依は、目が潤んでいた。

「そんなことないよ。
フミがわかってないだけ。
泣くなよ…!」
目元をゆっくりなぞりながら言う。

「豹くんのこと、好きだったよ。
でも、やっぱり過去形なの」
「うん」

「今は、煜馬さんのことが大好きだよ!」

「うん、俺も、大好き……」
煜馬の顔が近づいて、ゆっくり史依が目を瞑った。
自然と二人の口唇が重なった。

口唇が離れて、額をくっつけた。
「マズいな……」
と、煜馬が呟く。

「ん?煜馬さん?」
「………ううん…こっちの話…!/////」

「え?何?煜馬さん、顔が赤いよ?」
「いや、ほんとに大丈夫だから!」
史依から顔を逸らす。

「え?え?私、なんかしたかな?ごめんなさい!」
史依は不安になり、煜馬の服を掴む。
「違うよ。フミは悪くないよ」

「じゃあ…何で、私を見てくれないの?」
「………」



「ねぇ!煜馬さ━━━━━━」
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