ねぇ…俺だけを見て?
独占
「━━━━━んんっ…」
頬を撫でていた手は、口唇に移動しゆっくりなぞる。

思わず、声が漏れた。


「可愛い…フミ」
「煜馬さん…」

「ん?」
史依は、煜馬の首に手を回した。

「愛し合おう?」

「ん。いいよ!
大歓迎━━━━━」
煜馬の顔が近づき、口唇が重なった。

段々深くなって、息が荒くなって、酔ったようにクラクラしてくる。

「ん…煜馬…さ……」
「フミ…フミ……」

身体にキスが沢山落ちる。

そして、繋がった。



どうしてだろう━━━━━━━

足りない。
こんなに触れ合って、離れられない位にぴったり繋がっているのに“足りない”のだろう。

好きすぎて、どうしていいかわからなくなる。

もっと、
もっと、
もっと…………

欲望ばかりが溢れて、煜馬は夢中で史依を貪った。



━━━━━━━━━
━━━━━━━━━
━━━━━━━━………

「━━━━フミ」
「ん?」

「好きだよ」
史依を腕枕して、頭を撫でている煜馬。

「フフ…私も!」


「………………まさか、こんなに好きになるなんて思わなかった」

「え?」

「女なんてうるさいし、面倒だし……
フミのことも、家政婦にしようって思ってた」

「あー言ってたね」

「でも、今では……俺の方が好きだもんなぁー」

「私の方が強いよ?」
「俺だよ」
「え?私だよ?」
「俺だって!」

「私………って、もう!私達、おかしいよ(笑)」

「フフ…確かに(笑)」



「…………ねぇ、フミ」

「ん?」

「バカみたいなこと、言っていい?」

「うん」

「できる限り、俺“だけを”見てて?」

「へ?」

「俺以外見ないで?」

コツンと額をくっつけ懇願する、煜馬。

「好きなんだ、フミ。
フミだけが、大好きなんだ……!」
史依は、煜馬の頬を包み込んだ。

「私も、煜馬さんだけが好き!
大丈夫。
煜馬さんしか、見てないよ!」
そして、ゆっくり顔を近づけ口唇を重ねた。

ゆっくり目を瞑る煜馬。
段々深くなる。

「はぁ…フミ……もう一回しよう……」

「はぁはぁ…無理だよ……」

「無理じゃない……!」
あっという間に組み敷く。

「煜馬さ━━━━━━」
「フミ…フミ…受け止めてくれるよね?」
啄むようなキスを落としながら言う。

史依は“敵わないな”とボーッと考えながら、煜馬の激情を受け入れるのだった。

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