ねぇ…俺だけを見て?
見合いをして、三ヶ月後━━━━━━

その間煜馬の仕事が忙しく、二・三度食事をしただけ。(春から、副社長に就任するから。その為の準備)
史依は、煜馬のマンション前にいた。

“ごめんね。
今は仕事が忙しくて、引っ越しができないんだ。
悪いんだけど、フミが引っ越してきてくれる?
落ち着いたら、ちゃんと二人の家を探そう。
あと今日中に、二人で婚姻届だしに行こうね!”

そう言われ、史依はキャリーバッグを引いてやって来たのだ。
(その他の荷物は、段ボールを事前に送った)

ショルダーバッグから、鍵を取り出す。
手の平の鍵を見つめる。

“仕事が急に入ったんだ。
悪いんだけど、勝手に入っててくれる?
できる限り早く帰るから”

そして握りしめた。
「よし!今日から頑張るぞ!」

気合いをいれ、マンションに入った。


室内は、落ち着いていて無駄な家具は一切ないシンプルな空間だった。

「煜馬さんらしいな…!」

マンション内を確認する。
「ここは……書斎?かな?
ここが、おトイレで、お風呂……ここは……あ////
ベッド…!/////」

ベッドルームには、ダブルベッドとシングルベッド(史依の実家から運んできた)が並んでいた。

思わず、顔を赤くする。

「いやいや、あり得ないし…(笑)
煜馬さんは、私をそんな風に思ってないんだから!」
首を横に振り、リビングダイニングに戻った。

ソファの端にちょこんと座る。
「ど、どうしよう。
なんかした方がいいよね?
掃除?
いやいや、こんな綺麗な部屋を掃除って……
料理?
てか、いつ帰ってくるかわからないし……
それに、キッチン勝手に使っていいのかな?」

独り言をぶつぶつ言っていると、ショルダーバッグの中のスマホが鳴り出す。

確認すると、煜馬から電話がかかってきていた。
慌てて出る。
「も、もしもし!?」

『あ、フミ?』
「うん!」
『ごめんね、引っ越し初日から一人にして』
「ううん!煜馬さんこそ、お仕事お疲れ様!」

『うん。
今から帰るから、お昼買って帰ろうと思うんだ。
フミは何を食べたい?』

「あ、それなら!なんか作るよ?」
『でも、食材ないよ』
「へ!?
あ、だったら、すぐに食材を買って━━━━━」
『フフフ…』

「え?え?煜馬さん?」
『いや、可愛いなぁと思って』

「は、はい?」
『そんな気を遣わなくていいよ。
俺達、夫婦なんだし。
まぁ、正確には今日なるんだけど(笑)』

「そうだよね…」
『食材買ってくるくらいなら、俺が買って帰るよ!
昼食べたら、婚姻届出して買い物しよう』


そして、煜馬が弁当を買って帰ってきた。
「煜馬さん、おかえりなさい!」

パタパタと玄関に駆けてくる史依。
その姿に、煜馬の胸はまたキュッと痛む。

「…………ただいま…」

なんなんだ、これは……
ドキドキが止まらない/////
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