ねぇ…俺だけを見て?
そして史依の額に、チュッとキスをした。

「幸せにするって、誓うよ!」

「煜馬さん……」

「フミとなら、楽しい夫婦生活送れそうなんだ!」

「うん!ありがとう!
私も、楽しい夫婦生活にするよ!」


史依も婚姻届を書き、二人は外に出た。
地下駐車場で、煜馬の車に乗り込む。

助手席のドアを開けた煜馬。
「どうぞ?」
「ありがとう!」

運転席に乗った煜馬は、ガムを噛み始めた。
「煜馬さんは、運転をする時ガム噛むんだね!」

「え?あ、あぁ…」
少し曖昧な返事をする。

「煜馬さん?」
「ん?」

「私、気に障ること聞いたかな?」
「ううん!
さぁ、行こ?」
頭をポンポンと撫でた煜馬は、エンジンをかけた。



役所に着き、一緒に婚姻届を提出し“おめでとうございます”と職員に言われ、二人は微笑み合った。

「━━━━━煜馬さん、夕食は何食べたい?」
ショッピングカートを押しながら、煜馬を見上げる。
「んー、特には……」
ショッピングカートをさりげなく史依から取りながら、微笑み言った。

「じゃあ……洋食と和食は、どっちが好み?」
「和食かな?」

「じゃあ、お魚を焼いて、煮物と…お浸し……
定番の和食にするね!」
「あ…うん…」

煜馬は、夜あまり食べない。
夕食は、小盛りのご飯と味噌汁で十分だ。
もちろん、夜仕事がある時は力をつける為におかずも食べることもあるが、基本的には食べなくてもいい。

逆に朝食と昼食は違う。
朝からステーキでも良いくらい、ガッツリ食べるのだ。
仕事に集中できるように。

でも、そんなこと言えない。
史依を傷つける気がして……

「………」
「……ん?何?」

「煜馬さん」
「ん?」

「何かあったら、ちゃんと言ってね!」

「え?」

「私、そんな柔じゃないよ?
夫婦生活を楽しくしたいって言ってくれたから、その為なら厳しい言葉でも受け止めるよ!」

「………じゃあ、いいかな?」
「うん」

「俺、夜はあんま食べないんだ。
ご飯と味噌汁位で十分。
なんなら、スープだけとかでもいい位」
「そうなんだ!
わかった!
じゃあ、スープにしよ!お野菜のスープ」

史依は、特に気にすることなく微笑んだ。

「あ、でも!フミはちゃんと━━━」
「ううん!合わせるよ!できる限り、煜馬さんに合わせたい!
朝は?
お昼は、お弁当とか作っても大丈夫?
それとも、職場の方とお食事とかあるからいらないかな?」


敵わない━━━━━━

あぁ…だからか……

煜馬は妙に納得していた。
この胸のドキドキは、もう既に惚れてるってことなんだ━━━━と。

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