『四つ葉のクローバー』花言葉シリーズ
どうぞと、あなたを家の中へ。そして上着を脱がせ、後ろから抱いた。懐かしいあなたの匂い。唇と唇を合わせたら、あとはなすがままに。

硬い小さな布団の上で、あなたの汗ばんだ身体を抱きしめ、自分のしたことを考える。

悪意の第三者などいない。杉山とあなたの淫猥な映像データをコピーし、さらに、密かに自分で隠し撮りした男たちとのセックスの一部始終を、かねてからの計画どおりに、冷静にためらいもなく、わたし自らが流出させたのだ。

むりやり犯されたという手紙を添えて、杉山とあなたの妻へも送りつけてやった。

映像データをコピーするのは簡単だった。男たちが横で眠っているあいだに、油断しきった彼らのスマホの動画再生ボタンを押し、自分のスマホで録画すればよいだけだ。

データを消したらばれてしまうから触らなかった。まさかわたしがコピーするなんて、杉山もあなたも夢にも思わなかったはずだ。
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