記憶屋【先輩・後輩篇】
「1つ聞いてもいいですか?」

風間さんはドアの前で立ち止まると、振り返らずに質問を投げかけてきた。

「何ですか?」

「あなたは死ぬんですか?」

「はい、99%の確率で…」

「残念です」

「あなたが依頼を受けてくれたから思い残す事はありません」

「そうですか…またお会いしましょう」

「楽しみにしてます」

もうこれが最後になると僕も風間さんもわかっていた。

でも、最後の言葉が「さよなら」じゃ淋しすぎる。

だからそんな言い方を互いにした。
< 131 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop