記憶屋【先輩・後輩篇】
「じゃあ、帰るね」

「何か、こんな時間まですいません」

「ホントはもっと一緒にいたいの…」

先輩は、また泣き出してしまった。

「泣かないで下さい。退院したら好きなだけ会えます。ずっと一緒にいましょう」

「絶対だよ」

「はい。下まで送ります」

それから僕と先輩は1階までエレベーターを使って下りた。

ずっと手を繋いでいた。

正面玄関を出た所で先輩は…

「早く元気になってのおまじない」

僕の頬にキスをした。

「じゃあね、バイバイ!」

「じゃあ…」

先輩の姿が見えなくなるまで手を振った。
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