秋、金木犀が香る日。
8日の朝、実家から届いた無花果を大量に剥き、ガラスの小さなボウルによそって、紅茶を淹れた。


秋の朝ご飯はもっぱら無花果だ。


傷みやすい割に大量に届くので、そのまま剥いたりサラダにしたり、秋はたくさん無花果を食べる。

お昼ご飯のことも考えると、果物程度の軽い朝ご飯の方がいい。


最近ハマっているピアノジャズをイヤホン越しに聞きながら、お気に入りのワンピースに着替える。


秋服はニットワンピースが好き。モンブランみたいなこっくりした裾がふわりと回る。


仕事のときよりは少し派手な休日仕様に、大学時代よりはだいぶナチュラルにメイクをして、秋っぽく、少しだけ赤の強い茶色に染めた髪を、くるんくるんに巻く。


ざっくりほぐして編み込んで、ローポニーにまとめる。

ご飯を食べるときには髪を結ばないとじゃまなので。


栗色のパンプスを履いて、秋!なコーデの完成である。


ああそうだ、秋だからモンブランを食べよう。


二人で秋に行くのが恒例になっているお店は、もともとパティスリーで、付属したレストランでは、お昼にランチと、夕方から夜にかけてディナーを楽しめる。

ケーキはもちろん美味しい。


シュッと軽く噴いた金木犀の香りをくぐって、家を出た。
< 3 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop