戦国武将織田信長の不器用な恋
私が狼狽えていると、その侍は私に話しかけてきた。

「お主、こんなところで何をしておる」

何って、まずここはどこ?

と、その時、矢が私の頬を掠めた。

痛い。

その侍は私を軽々と持ち上げ、馬に跨らせた。

「しっかり捕まっていろ」

馬は風をきって走り出した。

城の門をくぐり、城内に入ると「お館様ご無事で」そう言って、多数の侍が周りを囲った。

「こやつの傷の手当てをしろ」

私は馬から下ろされて、城の中へと連れて行かれた。

かすり傷だったため、後は残らないようだ。

バンドエイド貼っておけばいいのに、ここにはないの?

私はお風呂に連れて行かれた。

「湯殿に浸かって身体を温めてください」

着替えは着物が用意されていた。

「お館様がお待ちです、こちらへ」

一歩踏み出すと、着物の裾につまづいて倒れそうになった。
< 2 / 90 >

この作品をシェア

pagetop