戦国武将織田信長の不器用な恋
「マミ、早くお館様の元へ行き、謝るのだ、よいな」

秀吉に背中を押されて、天守閣へ向かった。

「失礼します」

座敷に入ると、食事は手をつけず二人分が残ったままだった。

「どこに行っておったのだ」

信長にいきなり怒鳴られる覚悟をしていたマミは、静かに、しかも、

悲しい表情を見せられて、戸惑ってしまった。

「城下のお団子を食べに行っていました」

「信玄と一緒だったのか」

信長の表情が変わった。

「違います、一人です」

「そうか、ではこれからは俺が一緒に行ってやる」

信長は安堵したのか、少し和らいだ様子を見せた。

「お願いします、小銭がなくて、家康さんに借りたので返さないと」

「わかった、家康には返しておく」

食事が手付かずなのに気づきマミは信長に聞いてみた。

「信長様、お食事は召し上がらなかったのですか」

「マミを待っていた」
< 23 / 90 >

この作品をシェア

pagetop