戦国武将織田信長の不器用な恋
マミはドクンと鼓動が跳ねて、信長に申し訳ない気持ちになった。

「ごめんなさい、私はもうお腹いっぱいなので、どうぞお一人で召し上がってください」

「いや、お前が食べないのなら、俺もやめておく、一人で食べても味気ない」

マミは信長がかわいそうになり、つい言ってしまった。

「これからは一緒に食べましょう」

「そうか」

信長は明るい表情を見せた。

私、どうしちゃったんだろう。

信長様に対して怒っていたはずなのに、許しちゃってる。

しかも、一緒に食べましょうなんて、自分の言葉に驚いてしまった。

それから平穏な日々が続いた。

信長様と一緒の食事は思ったより楽しい。

それにあれ以来求めてこない。

私にとっていいことなのに、なぜか寂しいと感じている。

そんな矢先、戦に出陣が決まった。

相手、二千の軍勢に対して、五百で、しかも信長様一人で、織田軍を率いるとのことだった。

「お館様、それは無謀です、我々だけでもお供いたします」

でも信長は最後まで、首を縦に振ろうとはしなかった。
< 24 / 90 >

この作品をシェア

pagetop