戦国武将織田信長の不器用な恋
「はっきり答えろ」

信長はマミに詰め寄った。

そこに幸村が口を挟んだ。

「あんたさあ、両方にいい顔しようとしてもダメだよ、お館様、この女、
信用なりません、さあ、帰りましょう」

「マミ、お前のあの言葉、信用している、俺の元に来い、待っておるぞ」

信玄はそう言って、幸村と共にその場を後にした。

信長はマミの腕を離して、歩き始めた。

「信長様、待ってください」

信長はマミに背を向けたまま、言葉を発した。

「信玄の元へ行きたいのなら、さっさと行くが良い」

その信長の言葉は寂しい気持ちが溢れていた。
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